新入社員研修-カエルのタマゴ
会社員時代、新入社員研修の講師を依頼されたことを思い出した。
新入社員研修で、毎回話していたことは、3つだ。
①研修を受けている諸君は、何時間も拘束されて、シンドイし、邪魔くさいと思っていることだろうが、教えている方はもっと大変なのだ。
②教える人に対して、怪訝な態度をせず、少しでいいから感謝の気持ちを持って欲しい。
③そして、その感謝の気持ちを、将来、具体的に、目でみえる成果として、見せて欲しい。
毎回、この3つをお願いしていた。
仕事だけに限らず、自分中心に、自分のことだけを考えるのではなく、周りの人達のことも、理解出来る人間、常に感謝の気持ちを持っている人間、お世話になった人達の期待に応えるには、どういう結果、成果を出せばいいのかを考えらえられる人間であって欲しいと、日頃から思っている。
その研修では、1時間ほど話し45分の昼休憩に入った。
研修担当者から、「皆、緊張して聞いていましたね!」と、声をかけられた。
俺としては、親近感を持ってほしかったのだが、逆効果で、少し怖がられたんちゃうかと、若干心配になったことを覚えている。
昼食を終え、再度、研修室に入ると、新入社員の何人かが、当時、大流行していたタピオカドリンクたるものを飲んでいた。
俺は、当時、それが何かを知らなかった。
「何を飲んでるん?コップの底に、底に黒いツブツブが溜まってるけど!」と聞いてみた。
「タピオカです。」
そのとき、俺は、初めて、タピオカというものの存在を知った。
「そうなんや。カエルのタマゴを飲んでるんちゃうかと、ちょっと心配したで!」
「タピオカミルクティーです!!」
午後の研修が始まり、研修室を見渡すと、一人の机の上に、タピオカが残っているのが見えたので、思わず、言った。
「そのカエルのタマゴ、早く飲まないと、もうすぐオタマジャクシになるで!!」