酔いどれオンジの随想録(エセー)

酔いどれオンジの随想録(エセー)

日常系の随想録です。

外で言うのは禁止や

会社員時代、俺の個人的なこだわりで、新入社員が研修後に支店に配属された秋から冬にかけて、新入社員と食事会という名の飲み会を催していた。

俺と、新入社員2~3名を適当に誘った。なぜ、2~3人かというと、一度にたくさんの人数を誘うと、個々とじっくり話すことはできないし、かといって、1対1だと、気を遣わせてしまうからだ。

この会では、それぞれの性格や、考え方が、ある程度把握できた。結構、有意義だったと思う。

どの店かも、俺が決めていた。

よく連れて行った店は、フグや、割烹、寿司屋、ステーキハウス、中華飯店等、学生時代には、それほど行ったことのないであろう、少し高級な店を選択した。

もちろん、俺のおごりだ(この時期の財布の中身は、いつも淋しかった)。

 

おおよそ、店のチョイスは好評で、「いままで行ったことがない」とか、「こんな料理、食べたことがなかった」という人が多かった。

その中で、今でも忘れられない、なかなか面白いコメントをした者もいた。

 

割烹料理店。ズワイガニが出てきた。

蟹かまぼこより上品な味がしますね!」

・・・。勘弁してくれや。

 

フグの専門店。白子が出てきた。

「この豆腐、抜群ですね。」

・・・。そうでっか。もう、好きにして。

 

寿司屋。

回ってないと、何を頼めばいいか分かりませんね。」

・・・。そうなんや。

 

割烹料理店。土瓶蒸しが出てきた。

「これ、松茸のお吸い物と同じですね。」

・・・。本気で言うてるのか!?

 

 

まあ、しょうがないな。初めてなんやから。笑わせてもらったし、許しとこう。

ただ、絶対に、外では言わんといてな、と釘を刺しておいた。