酔いどれオンジの随想録(エセー)

酔いどれオンジの随想録(エセー)

日常系の随想録です。

マンガみたいに寝んといてくれ

今でこそ、オンラインでの面談が増えているが、俺が、現役で働いているとき、新任着任時の面接は、必ず、リアルで対面して、やらないとあかんかった。

 

部下の性格、今の状況、何を考え、何に悩んでいるのか、その部下が属する組織の状況、組織と部下個人の課題を確認するのが、面接の目的だ。

 

一対一の面接を行う際、部下には、あえて、準備をさせない。

面接をするマネージャー側は、面接をする部下の経験、経歴、今までの成果に対する評価を、ある程度でいいから、把握しておく必要があるが。

 

実際に、部下と話す内容は、雑談に毛が生えた程度でいい。

本音が出やすい雰囲気を醸しだすのが最も重要やと思う。

時間は、1時間以内がベストやと感じた。

30分程度、いい感じの雰囲気で話をしていれば、少しずつで本音が出だすから、30分では短い。ただし、1時間を超えると、ダレてきて、しんどくなってくるからだ。

 

過去の着任時の面接を思い起こしたところ、苦い思い出があったことを思い出した。

 

面接をしたのは、当時、実績抜群で評価もトップクラスの若手エース。

15分ほど経過した時、彼が、目を瞑りだした。

 

??

 

観察していると、いわゆる、ウツラウツラしている状態、になってきた。

俺は、その時、焦った。

なぜなら、俺が、1対1の面接をしている最中に、相手が、寝たことなど、経験したことがなかったのだ。

 

何が起きているんや?こいつ、緊張感ないんか?マジか?

状況を、理解できなかった。

 

まさか、このまま、寝ようとしてるのだろうか。

俺は、心の中で叫んだ。

 

頼む。寝んといてくれよ。

 

 

俺は、耐えられなくなり、寝そうになっている(ほとんど寝てるといっても過言ではない)状態の彼に、声をかけてみた。

 

「今、寝てたか?大丈夫か?」

「・・・!!すいませんーーーっ!!」

 

「面接は、別の日に、改めてやろう。今日は、もうおしまいや。寝不足か?」

「いいえ。面接の前に、薬局で買った、アレルギーの薬を飲みました。」

「なるほどなあ。即寝落ちしてたし、たぶん、薬が合ってないで。」

「そうですね。今日は、早退させてもらって、病院で、薬を処方してもらいます。」

彼は、部屋を出て行った。

 

夕方になり、先ほどの彼のことが気になった。

彼の隣の席の人に、彼は、帰ったのかと聞いた。

 

「さっき、地下の駐車場で見かけました。」

「車なんて、運転させたらあかん。今すぐ、駐車場に戻って、運転するの、やめさせてきて。」

「いいえ。運転はしていません。車の中で、爆睡していました。」

 

いろんな経験、させてくれるやないか!