サザエさんが怖い
元部下から、転勤が決まったのだと、報告を受けた。
他府県へ、部署の責任者として、異動するとのことだった。
彼は、子供が2人おり、どちらも中学生なので、単身赴任を選択したらしい。
「単身は、初めてで、正直、不安です。仕事は問題ないのですが、日々の生活と食事が不安です。」
「まあ、あまり、行く前から心配せん方がええで。単身赴任をして、餓死した人は、俺は、今まで聞いたことないから、食事は大丈夫やと思うで。知らんけど。」
自分が単身赴任をしていた時の生活を想い出した。
俺にとっての問題は、休日の過ごし方だった。
俺の休日の過ごし方は、こうだ。
赴任先の観光地や有名な場所、人気のある場所を調べておく。そして、休日に、こういう場所を訪問するのだ。
その地域の歴史も、簡単に、把握しておくと、より一層、楽しめる。
地元の特産品は、選り好みをせず、食べてみるが基本スタンスだった。
このような経験は、将来、話のネタになるから、強くお勧めする。
単身赴任の間は、休日、朝飯と晩飯は、自分で作るようになった。
単身赴任をするまで、自宅で、料理をしなかった人でも、問題ない。
自分で食事を作るようになって、いろいろ分かった。
・食材の価格
・食事づくりの大変さ
・美味くできたときの達成感が半端じゃないこと
だから、俺の休日(土日)は、結構、忙しかったのだ。
土曜の午前中は、洗濯、掃除に集中する。そのあと、昼から買い出しだ。
一週間分の朝飯用の米を炊き、冷まして、冷凍処理をする。
そして、日曜日には、お出かけだ。
(誰にでもできる)簡単な自炊メニューを紹介しよう。
平日の朝飯の定番メニュー*******************
(休みに炊いた)冷凍ご飯
野菜(シイタケ、舞茸、キャベツ、玉ねぎ、ごぼう、人参等)と油揚げの味噌汁
納豆と生卵(たんぱく質を効率よく摂取できる、生卵納豆!朝の定食。)
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ちなみに、夜は、取引先や部下たちと飲み歩いていたので、家で食事を作ることは、極めて稀だった。一緒に飲み食いする相手がいないときは、一人で外食することもあった。
洗濯、掃除、料理それぞれ得手不得手があると思うから、やり始めてすぐには、うまくいかないものだ。
だが、毎日、何らかの家事に取り組んでいると、工夫できるようになったり、スムーズにできるようになってきたりと、案外、達成感を感じていた。
話を戻そう。
単身赴任が決まった部下の話を、よくよく聞くと、自宅から単身赴任先には、2時間で着く距離なのだ。自宅から近く、理想の単身赴任。
俺やったら毎週帰るかもしれん。
現役時代、俺と同じく、単身赴任をしていた人が、いつも言っていたことを想い出した。
「サザエさんが怖い」というのだ。
つまり、土曜日または金曜日の夜に、自宅に戻り、月曜の早朝に、赴任先に戻る生活を繰り返した人だった。
サザエさんが始まると、戻らないといけない時刻が迫っていることを、ひしひしと感じるそうなのだ。
まあ、今回のコロナ禍の経験から、リモートワークで対応できる業務が増えると、転勤、単身赴任をする必要がなくなり、単身赴任ネタが役に立つことは、いずれなくなるのかもしれないけれど。