子どものころの思い出
誰にでも、食べ物の、好き嫌いはあると思う。
特に、今の子供は、好き嫌いが多いのだと聞く。
やはり、今は、食材が豊富で、色んな選択肢があるからだと思う。
菓子類果物類も豊富で、主食を食べなくても、代わりになるものがいっぱいあり、自分の好きなものだけで、十分、満腹感が得られる。飽食の時代やからな。
しかし、俺の子供の時代は違う。
俺も、周りの友達も、ほぼ好き嫌いはなかった。
やはり、今とは違い、食料が豊富ではなかったからだろう。
当時は、好き嫌いをしている場合やなかった。
常に、腹を減らしている状態で、兎に角、腹を満たすのが第一であった。
そんな中でも、どうしても好きになれない、苦手な食べ物があった。
現代の子と違うのは、苦手だとしても、当然のように、食べるのだ。食べなければ、腹が減るから。
俺に苦手なもの、それは、給食に出る脱脂粉乳だ。
その当時、俺は、「悪魔の飲み物」と言っていた。当時の脱脂粉乳は、兎に角、ニオう。ドロドロとしていて、泥水のような感触だ(泥水は飲んだ事はないけれど)。
当時の脱脂粉乳を一気に飲むには、ちょっとしたコツがいる。
適当な温度が重要で(熱すぎると一気に飲めない)、息を止めて(息をすると飲んだものが戻ろうとしてくる)、一気に流し込み(ゆっくり飲むと飲んだものが戻ろうとしてくる)、飲んだ後、暫く呼吸停止をするのだ(残り香で飲んだものが戻ろうとしてくる)。
俺は、一度も失敗したことはないが、友達らは、何度か、油断をしたために、見事な白い噴水を見せてくれた。
バリウムを、息を止めて、流しこみ、飲んだ後も、ゲップをしたらいけない状態と似ている。あの頃は、毎日が、バリウム検査だった。