酔いどれオンジの随想録(エセー)

酔いどれオンジの随想録(エセー)

日常系の随想録です。

カレーの思い出

もし、「今までに、一番美味しかったカレーは?」と聞かれたら、自信をもって答えらえる、俺の中でナンバーワンのカレーがある。
そう、これこそが、隠岐の島カレーだ。

もう随分古い話になるが、病院の先生に誘われて、隠岐の島に旅行に行った。
老夫婦が営む民宿に泊まった。
昼過ぎに到着して、宿につくと、昼食を出してくれた。

おばあさんが、「申し訳ありません。大したものがありません。すいません、すいません。」と連発しながら出してくれたのは、カレーだった。

その当時は、カレーのルーも種類も少なかった時代。
黄色でスパイスも控え目の味だが、食べてビックリなことが起きた。
具が、アワビだらけだったのだ!
それも、立派なアワビ。3人で行ったのだが、10個以上のアワビを使用したと思われた。一口大に、食べやすいサイズに切られたアワビがカレーと見事に調和している。
俺は、大変感激しながら、味わって食べた。歯ごたえ抜群で、かつ柔らかく、ジューシーな食感。カレーと言うより、カレー味のアワビシチュー。
おばあさんに、「こんなにおいしいカレーは初めてで、感激しました」と伝えても、おばあさんは、「すいません、すいません。牛肉がなかなか手に入りません。」と恐縮していた。
なんだか、こちらまで申し訳ない気持ちになり、「こちらこそ申し訳ありません」と恐縮してしまった。

夜の食事は、イカ、岩ガキ、バイガイ、鯛、サザエ、ヒラメ等の刺身に加え、アワビも入っている。
その他、酢の物、煮付け、焼き物、アラ汁まで出してくれた。大満足やった。今でも覚えている。
おばあさんが、「〆のご飯お持ちしましょうか?」と声をかけてくれた。
俺は、思わず、「まだ残っているなら昼に食べたカレーを、白飯なしでもらえませんか?」と言った。
おばあさんは、「分かりました」と、嬉しそうに、ニッコリ笑った。
この方は・・・・乙姫さんや!!
そうか、俺は、浦島太郎の竜宮城に来たのだな。