ジョン(犬)専用とタマ(猫)専用
乾物を見ると、いつも思い出す出来事がある。
単身赴任時代、年に3回程度、若い社員を自宅に呼んで、小宴会を開催していた(念のため言っておくと、参加は自由で、強制ではない)。
開宴は、13時だ。
夏の終わり、その日の料理は、鱧の湯引きとカツオのたたきを焼き、鱧鍋を用意した。
ビールと焼酎、ウイスキーも完備だ。
参加者は、予算2000円以内で、自分が飲みたい酒、つまみ等を持参するのが、暗黙のルールとなっていた。
その日は、ワイン、日本酒、乾き物、チーズ、スイーツ等を持ってきてくれた。
ビール、焼酎、日本酒、ワインと、それぞれ、好きな飲み物を飲み、最後にウイスキーになった時に、ある社員(仮称Aくん)が、乾き物を開けて、食べはじめた。
複雑な表情をして、「味が無いです。」と言う。
別の社員(仮称Bくん)が、別の袋を開けて食べた。
「これは、何か、生臭いです。」と言った。
二人そろって、「この乾物は、何かおかしいです」と言うのだ。
袋を見てみると、犬の絵のロゴマークが入っている。
もう一つの袋は、小さく、猫のイラストが入ってるではないか。
これは、ペットフード!ワンちゃんネコちゃんたちの、おやつや!
乾物を持ってきてくれた社員(仮称Cくん)に聞くと、近所のスーパーで買ってきたという。Cくんは、「すいません、すいません」の連発だった。
「まあ、ええやない。食べても何の問題ないと思うで。むしろ、減塩仕様で、体に優しいかもしれんで。」
AくんとBくんは、その後、2人で、ニンニクたっぷりのペペロンチーノを作り、口直しにしていた。
その宴において、襲名式が行われた。
しばらくの間、Aくんは、ジョン、Bくんはタマの字を襲名した。
ちなみに、Cくんは、自ら、ドギーマンと名乗っていた。