酔いどれオンジの随想録(エセー)

酔いどれオンジの随想録(エセー)

日常系の随想録です。

持続可能な移住生活

先日、テレビで、興味深い番組を見た。

内容は、仕事を定年退職して、夫婦で移住し、第二の人生を始めるというものだった。

この手の番組は、意外と多く、よくあるパターンがあるのだ。

 

・定年退職し、昔から夢であった自給自足の生活をするため、退職金で不動産(土地、家屋)を買い、移住する。

・日々の生活は、趣味であったパンの製造や、野菜を栽培し、週2回ほど、道の駅で販売する。

・古民家を購入し、蕎麦屋とか民宿とかを、曜日限定で営業する。

最後は、「年に何回か子供、孫が都会から尋ねてきて、家族円満な第二の人生を送っている。」という流れで、番組は終了する。

 

俺は、定年退職移住計画について、番組では語られない、2つの問題があると思っている。それは、第二の人生を送れる時間と、健康問題だ。

通常、定年年齢は60才~65才が多いだろう。

現在、日本の平均寿命は男81才(2位/世界))、女87才(1位/世界)なので、60才から定年退職移住計画を開始するとしたら、「残り、20年もあるではないか」と思ってしまうが、現実には、健康寿命で考えないといけない

現在の健康寿命は男72才、女74才で、60才から定年退職移住計画を開始したら、ほぼ10年しかないのだ!

野菜を栽培するには、準備期間も必要(種をまいただけで野菜は育たない)だし、そもそも、移住した時点では、農業のノウハウを持っていないとしたら、実質時間は、もっと少ない。

何故、健康寿命を問題にしたかというと、移住計画では、継続的に、医療介護に依存せず、人(家族)に負担をかけない、自立した生活を、どれだけ維持できるかがとても重要だと思うからだ

ぶっちゃけ、移住時に、すでに慢性疾患等で薬を飲んでいるような人は、論外やと思う。夏の炎天下や冬の寒空の中、農作業ができるのか??

さらに、夫婦で移住したものの、夫婦のどちらかの健康に不具合が生じ、仮に、入院となった時点でも、移住生活は終焉を迎えるのだ。

夫婦のどちらかが体調不良となっても、移住生活を続けられるかは、他の家族や近隣住民のサポートを、どれだけ期待できるかにかかってきてしまう。結局は、他人に迷惑をかけることになるのだ。

だから、定年退職移住計画を実行に移すなら、家族に迷惑をかけずに、やっていけるのかということが分岐点になると思う。仮に、迷惑をかける可能性がすでにあるなら、家族は、それを納得しているのか、だ。

年齢を重ねたら、なるべく便利なところに住むのが、自分にとっても快適だし、周りに迷惑をかけなくて済むもんや。だから、俺には、移住生活は、でけへん。

人生後半で、何で、罰ゲーム受けなあかんねんと思うてしまう。

 

それでも、移住生活を目指す人に向けて、俺からのアドバイスは3つだ。

1つは、(子どもがいるなら、子どもの教育問題もあるが)定年退職ではなく、もっと若い時に移住することを考えてほしい。

2つ目は、移住先の物件は、現居住地になるべく近くを選定し、移住する5年くらい前には購入して、少しずつ準備をし、実際に移住するころには、完璧な状態にするという長期戦で構えるのがいいのではないか(移住前の都会の住宅は、何時でも帰れる状態にしておければ理想的)。

3つ目は、移住先を決めるときは、近くに、救急を扱う総合病院があるエリアで選ぶこと。

以上!