サイン
製薬会社の営業での最大の目標は、新規採用の契約を成立させることだ。
あるとき、入社12年目くらいの、部下が、新規採用の契約を取ってきた。
先方に、契約のお礼と、ご挨拶ため、契約を獲得した部下に同行をした時、彼から相談(愚痴?)を受けた。
「所長からは、他の人と比べて、高い目標数値を設定されますし、その目標を何とか達成すると、また、目標が上がってしまい、ますます苦しくなってきています。」
「所長は、君に、大きな期待と信頼をおいているからやと思うで。」
「そうでしょうか・・・。このままでは、きりがなくて。気持ちがしんどくなってきます。」
「俺から見て、所長は、君の成果に対して、適正な評価をしていると思うよ。成果と評価とが合わないと感じているのなら問題やと思うけどな。」
「“評価はちゃんとして頂いていると感じています。ですが、毎回、ホームランのサインを出されても、打てません。」
「当然や。みんな、そこは、わかっているから、心配せんでええで!」
送りバントのサインばかり出されていた俺より、ホームランのサインを出される方が、ましやで、とつくづく思った。