酔いどれオンジの随想録(エセー)

酔いどれオンジの随想録(エセー)

日常系の随想録です。

坊さんの境地

f:id:onjiblog:20210615190223j:plain

坊さんの境地

現役時代、若いころにお世話になった先生が、別の病院に、部長職で、赴任されたと聞いたので、早速、挨拶に行った。

およそ20年ぶりだっただろうか。

先生の執務室に行くと、昔の面影があり、すぐに、先生を認識することはできたが、少し印象が違う気がした。

髪の毛が薄くなったからか?

「お久しぶりです。」
「久しぶりやな。髪の毛、えらい、薄くなってるやん!」

いきなり、それを言うか?自分の事(頭髪の様子)を心配せなあかんのでは・・・。

「あれから、早20年。私も、齢を重ねましたし、しょうがないです。」
「額からいってるんやなあ。」
「そうです。額拡大症候群です。」
先祖が丁髷を結っていたから、きっと、遺伝や。
その後も、かつらの話、育毛剤の話になり、先生は、余程は、薄毛をきにしているようだった。

本人には言えないが、先生の場合は、所謂、カッパの皿拡大症候群だと思った。

「髪が薄くなっても、メリットもありますよ。抜け毛が極端になくなりましたし。」
「当たり前やろ~!!」
「私は、これ以上薄くなったら、坊主頭五分刈りからの、スキンヘッドにするつもりです。」

結局、その日は髪の毛の話だけで終わった。

それから2ヶ月後、その先生に会いに行ったら、なんと、先生が坊主頭になっていた。

坊主にすると、坊さんの境地や、未練を一つ捨てられる。
捨てる神(髪)あれば、拾う神(髪)ありと言うが、俺には捨てる髪も後わずかや。うんうん。